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東京地方裁判所 昭和28年(行)45号の1 判決

原告 大沢一次 外四名

被告 東京国税局長

主文

原告らの請求はいづれもこれを棄却する。

訴訟費用は原告らの負担とする。

事実

当事者双方の申立及び事実上の主張並びに証拠関係は別紙記載の通りである。

理由

第一、原告らの昭和二十六年分の所得税に関し、原告らのなした各確定申告、下谷税務署長のなした各更正決定、これに対する原告らの各再調査請求或は審査請求、これに対する下谷税務署長のなした決定或は被告のなした各審査決定等の内容は、原告ら主張の通りであることは各当事者間に争いない事実である。

よつて、以下被告のなした右各審査決時の当否について順次判断する。

第二、原告大沢について、

一、原告大沢については、被告は資産の増減により昭和二十六年分の総所得金額を推計するので、この推計の当否を検討する。同年中における同原告の増加資産金額は、生計費三二六、一〇四円の支出の点を除き、被告の主張する通りであることは当事者間に争いない事実である。

生計費の支出額については成立に争いない大沢乙第一号証によると、同年中における東京都における一人当り平均支出生計費は年間四〇、七六三円であると認められ、同原告の家族人数は八人であることは当事者間に争いないから、同原告は同年中に少くとも三二六、一〇四円の生計費を支出したと推認することができる。

もつとも、同原告は同年中における原告の生活程度は平均水準以下であり、生計費も標準額に達しなかつたと主張するが、右主張事実を認めるに足るべき証拠はなく、かえつて、証人和久和の証言、及び前認定の同年中における原告の資産増加の情況とを綜合すると、同年中における同原告の生活水準は、少くとも東京都における平均の生活水準に達していたものと認められるから、右主張は採用できない。

そうして、同年中における資産減少はこれを認むべき証拠がないから、同年中における同原告の総所得金額は四八六、一三四円と認められる。

二、同原告は、同年中における実額による収支計算により総所得額を一六七、二九〇円四〇銭であると主張するが、これを認定するに足るべき証拠もない。

そうすると、同年中の同原告の所得を右認定の所得金額四八六、一三四円以下の二九〇、〇〇〇円とした下谷税務署長の決定を認容した被告の本件審査決定は相当であり、違法というに当らない。

第三、原告臼井について。

一、原告臼井が歯科医師として昭和二十六年中に取扱つた患者中、健康保険関係者(健康保険等会社保険の被保険者及びその被扶養者、国家公務員共済組合の組合員及びその被扶養者、生活保護法により医療扶助を受ける者等医療給付を受ける者等を総称する。以下同じ。)より得た報酬の明細及びその総額(二四二、五七八円)並びに右以外の一般患者の延数(三一九名)が被告主張の通りであることは当事者間に争いない。

ところで、前認定の通り同年中の健康保険関係の延患者数は一、四四七名で、その報酬総額は二四二、五七八円であるから、一人一回当りの療養費は一六七円六〇銭となり、一般患者と健康保険関係者との療養費を同額とみると、同年中における一般患者により得た報酬は五三、四六四円となる。しかしながら、成立に争いない臼井乙第三号証の一、二及び証人荒川綱雄の証言によると、一般患者の一回当りの療養費は健康保険関係患者のそれと比較して少くとも一五〇パーセント以上に相当しているのが通例であることを認めることができる。従つて、一般患者より得た報酬を右五三、四六四円の一五〇パーセントである八〇、一九六円と推認することができる。右認定を左右するに足る証拠はない。

よつて、右健康保険関係患者及び一般患者より得た報酬の合計三二二、七七四円より、同年中の経費一一三、九七二円(経費額は当事者間に争いない。)を控除した二〇八、八〇二円が同年中の同原告の所得というべく、同原告の所得を右金額の範囲内である二〇三、七〇〇円とした下谷税務署の決定を認容した本件審査決定には何ら違法はない。

二、もつとも同原告は同年中の収入をその記帳に基いて合計二五九、八一一円二五銭であると主張するけれども、これを認めるに足るべき証拠はない。かえつて原告臼井本人の供述により真正に成立したと認め得る臼井甲第一号証、証人荒川綱雄、同五木田三郎の各証言、原告臼井本人の供述によると、同原告は同年中における収入及び支出を明確に記帳せず、又、その証拠となるべき納品書或は領収証等も一部しか有していなかつたことが認められる。

従つて、同原告の右主張は採用し得ないばかりか、同年中における一般患者より得た報酬につき推計により認定するのも、またやむを得ないところである。

第四、原告青木について、

一、原告青木については、被告は資産の増減により昭和二十六年中の総所得金額を推計するので、この推計の当否を検討する。

(1)  生計費 成立に争いない青木乙第一号証によると、同年中の東京都における一人当り平均支出生計費は年間四〇、七六三円であると認められ、成立に争いない青木乙第二号証、証人細谷銀次の証言により真正に成立したと認めうる青木乙第十一号証によると、同原告の家族は五人であることが認められるから、同年中における生計費支出は二〇三、八一五円と推認される。同原告は同年中における生計費支出は平均一ケ月一〇、〇〇〇円であると主張するが、これを認めるべき証拠もなく、又、同原告が右認定の平均支出生計費以下の生活水準で生活していたと認めるべき証拠もない。

(2)  税金 成立に争いない青木乙第六ないし第八号証によると同年中において同原告は所得税一、八八〇円、固定資税一、三九〇円、区民税一、八〇〇円を納付したことが認められる。

(3)  掛金 弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる青木乙第九号証、証人細谷銀次の証言によると、同原告は同年中に東京美術銀器工業協同組合に対し合計三、〇〇〇円の掛金を支払つたことが認められる。

(4)  実弟の生活費 同原告が同年七月二日から八月末日までその実弟訴外青木孝吉を同居させ、その食費その他の費用に金六、三〇〇円を支出したことは当事者間に争いない。

(5)  同年中に同原告の資産の減少を認めるべき証拠はないから、同年中の同原告の資産は右(1)ないし(4)の合計金二一八、一八五円増加したものと推計されるから、同年中の総所得金額は少くとも右資産増加額以上と認められ、この認定を覆すに足る証拠はない。また同原告が同年中の所得額であると主張する願が正当であることを認めるべき証拠もない。従つて、同年中の同原告の総所得金額を右の範囲内である金一七六、二〇〇円とした下谷税務署長の決定を認容した被告の本件審査決定は相当であり、違法でない。

第五、原告大石について、

一、原告大石がズボン縫工を業としていることは当事者間に争がない。そして、原告本人の供述によ真正に成立したと認められる大石甲第一号証並びに証人玉木福太郎の証言、原告大石本人の供述を綜合すると、(但し、原告大石本人の供述中左記認定事実に反する点を除く。)昭和二十六年度中の右営業について、同原告はその収支を明確にする帳簿を備えず、又これを認めるべき証拠書類等も充分保存されていなかつたことが認められる。かような場合においては、推計によりその所得を認定することは許されるべきである。

二、よつて、被告主張する推計の当否について検当する。

(1)、昭和二十六年中に右原告の営業に従事した人員は、原告大石本人の外に従業員が同年一月より四月までは二人、同年五月より九月までは三人、同年十月より十二月までは四人であつたこと、同年中に同原告が扱つたズボン一本当りの加工賃が平均一一五円であること、右程度のズボンであると熟練工たる同原告においては最低一日八本、従業員たる普通工では同じく五本を加工できることはいずれも当事者間に争いない。

成立に争いない大石乙第二号証の一、証人玉木福太郎の証言、原告大石本人の供述並びに弁論の全趣旨によると、右認定程度の同原告の業態においては、右認定の一人当平均加工数を挙げるには、従業員中の一人はのり付、アイロン仕上等の下仕事をするのが通常であると認められる。

稼働日数については争いあるところであるが平均一ケ月二十三日の稼働日数があることは同原告も認めるところであり、又前掲各証拠によつても少くも右日数程度の平均稼働日数のあることを認めることができる。

(2)  そこで右諸要素により同年中のズボン加工賃を計算すると左の通り総額五五八、〇九五円となる。

期間     就業人員   延人員 加工高(本)   工賃(円)

自一月至十二月 一(原告本人) 二七六 二、二〇八  二五三、九二〇

自一月至 四月 一(従業員)   九二   四六〇   五二、九〇〇

自五月至 九月 二( 〃 )  二三〇 一、一五〇  一三二、二五〇

自十月至十二月 三( 〃 )  二〇七 一、〇三五  一一九、〇二五

計                   四、八五二  五五八、〇九五

(就業人員は従業員の内一人は常時前認定の下仕事をするものとした。)

(3)  よつて、同年中における同原告のズボン加工業における収入は右加工賃五五八、〇九五円より当事者間に争ない必要経費額二二〇、〇〇〇円を控除した三三八、〇九五円であると認められる。

右認定を覆すに足る証拠もなく、又同原告は実額計算により同年中の所得は一七九、八二八円であると主張するが、これを認めるべき証拠もない。

果してそうであるならば、同年中における同原告の所得を右認定額の範囲内である三三六、〇〇〇円とした下谷税務署長の決定は相当であり、これを認容した本件審査決定は違法というに当らない。

第六、原告手塚について、

一、原告手塚が茶、茶器及びのりの販売並びにパン類の委託販売を行うものであること、同原告の昭和二十六年分所得税の課税資料たるべき営業上の帳簿類が不備であつたことは当事者間に争いない事実である。かかる場合においては推計によりその所得額を認定することもやむをえないところである。

二、よつて被告主張の資産増減による推計の当否について判断する。

(1)  同原告の同年中における資産の増減があつたものとして被告が主張する事実中、家屋の増一〇〇、七七〇円及び生計費一八二、五〇〇円の点を除き、その余の点は被告主張の通りの増減があつたことは当事者間に争いない。

(2)  成立に争いない手塚乙第三号証、証人北村五郎、原告手塚本人各尋問の結果(但し原告手塚本人の供述中左記認定事実に反する点は除く。)によると、同原告は同年中に約六坪の家屋増築をなし、その費用として一〇〇、七七〇円支払つていることを認めることができる。右認定に反する原告手塚本人の供述部分は措信できないし、又、増築費用は同年中の営業収入金額以外の家具等の売却によつて得た金で支払つたとの同原告主張事実も、これに符合する原告手塚本人の供述のみではこれを認めることはできず、その他右主張事実を認めるべき証拠はない。そうであると、右増築費一〇〇、七七〇は同年中の資産増として加算されるべきものである。

(3)  成立に争いない手塚乙第四号証、証人北村五郎、原告手塚本人各尋問の結果によると、同原告の同年中における生活費は前認定の学費、医療費、ガス、水道、電気代等を除いて平均一日五〇〇円を要したことを認めることができるから、同年中の生活費として右五〇〇円に三六五(一年の日数)を乗じた一八二、五〇〇円の支出がなされたことが認められる。

(4)  右認定の各資産増減を差引すると、同年中における同原告の資産増は四〇一、二二四円となり、同原告の同年中における所得を右の範囲内である三八九、八〇〇円とした下谷税務署長の決定を認容した被告の本件審査決定は適法なものというべきである。

三、もつとも、同原告は同年中の収支を計算した上、総所得額は二六二、一九二円であると主張するが、右主張の収支計算に符合する手塚甲第一、第二号証は信用できないし、その他右主張を認めるに足るべき証拠もない。

第七、以上説示した通り、被告のなした原告らに対する本件各審査決定は何ら違法と言うべきでないから、これが取消を求める原告らの請求はいづれも理由ないものというべきである。よつて原告らの請求はいづれもこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条第九十三条第一項本文に則り、主文の通り判決する。

(裁判官 地京武人 石井玄 越山安久)

(別紙)

一、請求の趣旨

(一) 被告が昭和二十八年三月六日なした原告大沢の昭和二十六年度分所得税に関する審査の請求を棄却した決定は、これを取消す。

(二) 被告が同月二十三日なした原告臼井の昭和二十六年度分所得税に関する審査を棄却した決定は、これを取消す。

(三) 被告が同年二月二十六日なした原告青木の昭和二十六年度分所得税に関する審査の請求を棄却した決定は、これを取消す。

(四) 被告が右同日なした原告大石の昭和二十六年度分所得税に関する審査の請求を棄却した決定は、これを取消す。

(五) 被告が、同年三月十九日なした原告手塚の昭和二十六年度分所得税に関する審査の請求を棄却した決定は、これを取消す。

(六) 訴訟費用は被告の負担とする。

二、請求の趣旨に対する答弁

原告等の請求を棄却する。

三、請求原因

(一) 原告等は下谷税務署長に対し昭和二十六年度分所得税の確定申告として次表申告の日欄記載の日に申告額欄記載の金額を総所得金額であるとそれぞれ申告したところ、同署長は、次表更正決定の日欄記載の日に原告等の総所得金額を次表更正決定額欄記載の金額であると更正する決定を為し、各決定した日の翌日それぞれ原告等に通知した。

原告名

申告の日

申告額

更正決定の日

民正決定額

大沢

二七、二、二九

一七〇、〇〇〇

二七、五、二四

三〇七、五〇〇

臼井

二七、二、二九

一五〇、〇〇〇

二七、五、二四

三〇三、七〇〇

青木

二七、二、九

一二〇、〇〇〇

一七六、二〇〇

大石

二七、二、二九

一八〇、〇〇〇

二七、三、一五

三三六、五〇〇

手塚

二〇〇、〇〇〇

二七、五、二四

四五七、一〇〇

(二) そこで原告等は同署長に再調査の請求をしたところ、同署長は原告大沢については、同年八月二十日右更正決定額の一部を取消し同原告の所得額を二九〇、〇〇〇円に、又原告手塚については同月二十一日右更正決定額の一部を取消し、同原告の所得額を三八九、八〇〇円に夫々訂正した外原告臼井については同月二十日、原告青木については同月十八日、原告大石については同月二十二日いずれも原告等の再調査の請求を棄却する決定を為し、右各決定の日の翌日各原告等に通知した。これに対し原告等は被告に審査の請求をなしたが、被告は原告大沢につき昭和二十八年三月六日、原告臼井につき同月二十三日、原告青木同大石につき同年二月二十六日原告手塚につき同年三月十九日いずれも原告等の審査の請求を棄却する旨決定し、この旨右各決定の翌日原告等に通知した。

(三) しかし原告等の昭和二十六年度の総所得金額は前記申告額以下であつて、下谷税務署長が各原告等につきなした更正決定、再調査の決定はいずれも過大であつて違法であるのに、右税務署長の違法な決定を認容し、各原告等の審査の請求を棄却した被告の各原告等に対する審査決定は違法であるから取消さるべきである。

四、請求原因に対する答弁。

請求原因(一)(二)記載の事実は認め、(三)記載の事実は争う。

以下各原告について述べるように、各原告はいずれも右税務署長の決定額以上の所得があつたと認められるから被告のなした本件各決定は違法でない。

五、原告大沢に対する被告の主張事実

(一) 原告は肩書地でゆで麺の製造販売業を営む者であるが、昭和二十六年度の収支については、製品の主たる原料である小麦粉の受払に関する食糧配給公団への報告控を所持するだけで、経費や売上の帳簿を備えておらず、又現金の収支を照合すべき金銭出納帳も作成していないから、原告の収支を正確に計算して所得を算出することが不可能であつた。

(二) そこで被告は次のとおり同年中の原告の資産の増減から所得を推計した。

(1) 資産の増加

項目

期首

期末

増加額

備考

機械備品

九三、〇〇〇

一一四、〇〇〇

二一、〇〇〇

原料

二六、五〇〇

二九、二〇〇

二、七〇〇

(本人申立)

簡易生命保険料

五、九五六

五、九五六

普通預金

一三〇、〇九八

二四二、五四二

一一二、四四四

合計

一四二、一〇〇

(2) 生計費 三二六、一〇四円

原告の家族は八人で昭和二十六年度における東京都における一人当りの消費者の平均支出金額は総理府統計局作成の消費実態調査年報によると四〇、七六三円である。

(3) 公租公課 一七、九三〇円

所得税       一二、二八〇円、区民税 二、五五〇円

固定資産税 三、一〇〇円

(4) 合計 四八六、一三四円

原告の資産は、昭和二十六年中四八六、一三四円増加しているのであるが、これは同年分所得金額から支出されたものに外ならないから、原告の所得は四八六、一三四円と推計される。従つてその範囲内で原告の所得を二九〇、〇〇〇円とした下谷税務署長の決定を認容した被告の本件決定は違法でない。

六、原告大沢の答弁及び主張事実。

(一) 被告主張事実中、原告の生計費が三二六、一〇四円であることには争うがその余の事実は原告の家族数を含めすべて認める。同年中の原告の生活程度は平均水準以下であつて生計費も標準額には達しなかつた。

(二) 原告の収支計算は次のとおりであつて、昭和二十六年度の所得は一六七、二四〇円である。

(イ) 期首棚卸額  二六、五〇〇    (ニ) 売上額   九五三、一四〇

(ロ) 商品仕入額 六八二、一四五、六〇 (ホ) 期末棚卸額  二九、二〇〇

(ハ) 利益    二七三、六九四、四〇

合計    九八二、三四〇、〇〇        九八二、三四〇、〇〇

(ヘ) 経費    一〇六、四〇四

内訳

地代     六、四八〇 (総額七、八〇八円の内、営業用に使用分)

水道代    三、八二四 (総額四、〇七八円の八割)

電気代    五、七六〇 (総額八、二二七円の内営業用七割)

看板塗代   一、四〇〇

麺機修理代  九、〇〇〇円

燃料代   七九、九四〇

(ト) 差引所得((ハ)―(ヘ)) 一六七、二九〇、四〇

七、原告大沢主張事実に対する被告の答弁

原告主張事実はすべて知らない。

八、原告臼井に対する被告の主張

(一) 原告は保険医たる歯科医師である。原告は税務吏員の調査に際し課税資料となる帳簿は記帳していないとのことで提出せず、僅かに患者の氏名治療名料金を記載し、健康保険関係者(健康保険等社会保険の被保険者及びその被扶養者、国家公務員共済組合の組合員及びその被扶養者、生活保護法により医療扶助を受ける者等医療給付を受ける者を総称する以下健保関係者と略称する)はゴム印で〈健〉と押捺して一般患者(健保関係者以外の者)と区分した卓上日記及びカルテを提示したのみで納品書及び領収証は一部分しか現存しないし、証拠のないものを経費に計上していることは原告も認めていたので、原告の収支計算を措信することができない。

(二) そこで被告は以下のように、原告が(1)健保関係者より受けた報酬は、東京都社会保険診療報酬支払基金中野事務所における調査と原告の申立より二四二、五七八円と算出し、(2)一般患者より受けた報酬は、右申立を基礎としてこれを若干の推計を用いて八〇、一九六円と算出し、この合計額三二二、七七四円から原告申立の経費一一三、九七二円を差引いても、原告の所得は二〇八、八〇二円となるから、これを二〇三、七〇〇円とした下谷税務署長の決定は違法でないから本件審査の請求を棄却した決定も違法でない。

(三) 健保関係者より受けた報酬の明細は次のとおりである。

期間

科目

区分

点数又は人数

単価

報酬

(1)

自一月至十一月

療養費

被保険者

一六、八〇七点

一一、〇〇円

一八四、八七七、〇〇円

基金事務所より支払を受けた分

被扶養者

三、二八一

五、五〇

一八、〇四五、五〇

十二月

被保険者

六二六

一二、五〇

七、八二五、〇〇

被扶養者

三三三

六、二五

二、〇八一、二五

小計

二一二、八二八、七五

(2)

自一月至十一月

被扶養者

一八、〇四五、五〇

被扶養者自己負担分

十二月

二二、〇八一、二五

小計

二〇、一二六、七五

(3)

自一月至十一月

初診料

被保険者

九六名

四四、〇〇

四、二二四、〇〇

被保険者自己負担分

十二月

七名

五〇、〇〇

三五〇、〇〇

小計

四、五七四、〇〇

(4)

自一月至十一月

療養費

生活保護者

四五九点

一一、〇〇

五、〇四九、〇〇

台東区役所より支払を受けた分

合計  二四二、五七八、〇〇(円未満切り捨て)

右表中(1)の社会保険による診療報酬一点の単価については昭和十八年二月八日厚生省告示第六六号昭和二十三年八月三十一日同省告示第六八号による改正(単価十一円)昭和二十六年十一月十一日同省告示第二八〇号改正(単価十二円五〇銭)又生活保護法による診療報酬点数及びその単価については同法五二条による。又被扶養者の単価を被保険者の単価の半額としたのは、被扶養者の療養に要する費用の百分の五十に相当する額を家族療養費として保険者より支払われるからである。(健康保険法第五九条の二、国家公務員共済組合法第三二条第一項等)従つて、被扶養者の療養に要する費用のうち残り半額は自己負担として被扶養者が直接原告に支払つたものであるから(2)に計上した。

被保険者の初診料は被保険者の負担として直接原告に支払つたもの(健康保険法第四十三条の二第二項国家公務員共済組合法第三一条第三号等)でその金額は一人当り四点である(昭和二十年厚生省告示第一一号歯科診療報酬点数表)から一月から十一月までは四四円(単価一一円)十二月は五〇円(単価一二円五〇銭)として算出し(3)に計上した。

(四) 一般患者より受けた報酬額算出の根拠

一月から十月に至るまでの延患者数は健保関係者が一二〇七名一般患者が二六六名であるから、一カ月の平均延患者数は前者が一二〇名、後者が二六六名となるところ、十一月及び十二月の延患者数を認定すべき資料がないから、右一月から十月までの一カ月平均延患者数に等しいものと推定すると、十一月及び十二月の延患者数は健保関係者二四〇名一般患者五三名となり昭和二十六年中の延患者数は健保関係者一四四七名一般患者三一九名と推認される。ところで健康保険関係者より得た報酬は二四二、五七八円((三))であるから一回当りの療養費(初診料も含む)は一六七円六〇銭(十銭未満切捨)となる。一般患者の療養費を健保関係者と同額とみれば、一般患者より得た報酬は五三、四六四円となるが、税務官庁の従来の調査の結果によると一般患者の一回当り療養費は健保関係者の一五〇パーセントないし二〇〇パーセントに相当しているのが通例である。このことは健康保険による療養には一定の制限がある(昭和二七年厚生省告示三三九号による改正前の昭和二五年同省告示第二四〇号健康保険歯科医療養担当規程)のに反し、一般患者のそれは、そのような制限がないから、一般に高価な療養をなしうることからも首肯されるものである。

このような理由で一般患者の療養費は健康保険関係者のそれの一五〇パーセントとして金八〇、一九六円であると推認した。

九、被告主張に対する原告臼井の答弁及び主張

(一) 被告主張事実中原告が税務吏員の調査に際し課税資料となる帳簿は記帳していないといつて提出せず、僅かに患者の氏名治療名、料金を記載して健保関係者はゴム印で〈健〉と押捺して一般患者と区分した卓上日記及びカルテを提示したのみで経費関係については納品書の一部及び領収書の一部を提示したのみで証憑のないものを経費に計上していたことを原告も認めていたとの事実及び一般患者の一回、一人当りの療養費が健保関係者の一五〇ないし二〇〇%であることは否認するがその余の事実は認める。一般患者の一回一人当りの療養費と健保関係者との比率は一一〇対一五〇である。

(二) 原告の月別収支明細は次表のとおりで所得額は一四五、八三九円二五銭である。

なお、健保関係収入が原告主張額より二九、七〇九円二五銭少いのは健康保険の被扶養者の現金収入(半額)、被保険者の初診料及び生活保護者の療養費(被告主張の別表の(2)(3)(4))を一般収入として記帳したためであつて、一般収入は一七、二三三円五五銭である。

健保関係収入

一般患者収入

必要経費

一月

一一、八八一、五〇円

七、二八六、五〇円

四、五六五、五〇円

二月

二四、〇九五、五〇

四、四四一、〇〇

七、四二一、〇〇

三月

二一、六二六、〇〇

二、七七二、〇〇

一一、一六一、〇〇

四月

一五、七八五、〇〇

二、七六二、〇〇

八、〇五二、五〇

五月

二二、五八九、五〇

二、九三六、五〇

六、五八八、五〇

六月

二〇、〇三一、〇〇

四、六四七、五〇

八、八八九、〇〇

七月

一八、三九二、〇〇

五、五七二、〇〇

五、八六八、五〇

八月

一三、六六七、五〇

四、〇〇八、〇〇

一四、五三二、五〇

九月

一五、七〇八、〇〇

一、八九一、〇〇

三、八三六、〇〇

十月

一三、九八六、五〇

二、八六一、五〇

一三、八四四、五〇

十一月

二四、二〇〇、〇〇

三、八三二、〇〇

一一、九七五、五〇

十二月

九、九〇六、二五

二、九四〇、五〇

一七、二三七、五〇

合計

二一二、八六八、七五

四六、九四二、五〇

一一三、九七二、〇〇

十、原告臼井主張事実に対する被告の答弁

原告主張事実はすべて争う。

十一、原告青木に対する被告の主張事実

(一) 原告青木は錺職で、二、三の商店からライター、シガレツトケース或いはブローチ等の製作、修理を請負い、これに対する工賃の支払を受けているものであるが、昭和二十六年の収入及び支出の状況を明らかにする帳簿又は書類は全く所持していない。又税務官吏の調査に際しても収支の状況を合理的に説明できなかつたし、得意先の商店の所在地、名称も明らかにしなかつた。このような理由で直接資料に基いて同年分の所得金額を算出することができなかつたから、資産増減の計算から所得を推計する外なかつた。

(二) 昭和二十六年の資産の増加額は次のとおりである。

(イ) 生計費    二〇三、八一五円 家族五名、一名当り生計費は総理府統計局作成の昭和二十六年消費実態調査年報による東京都における消費者の平均支出金額四〇、七六三円

(ロ) 所得税    一、八八〇 同年中に納付

(ハ) 固定資産税  一、三九〇 同右

(ニ) 区民税    一、八〇〇 同右

(ホ) 掛金     三、〇〇〇 東京美術銀器工業協同組合に対する昭和二十六年七月から十二月まで毎月五〇〇円の掛金

(ヘ) 実弟の生計費 六、三〇〇 実弟青木孝吉が昭和二十年七月二日から八月末日まで同居した食費その他の費用(本人申立)

合計           二一八、一八五円

(ト) 同年中資産の減少はない。

昭和二十六年中に原告の資産は二一八、一八五円増加したが、これは同年の所得金額から支出されたものに外ならないから、原告の同年分の所得額は少くとも二一八、一八五円以上であると推認される。従つて原告の所得金額を一七六、二〇〇円と決定した下谷税務署長の決定は違法であつて、右決定に対する審査請求を理由がないとして棄却した本件決定は違法でない。

十二、被告主張事実に対する原告青木の答弁及び主張

(一) 被告主張の(一)の事実は認める。同(二)の事実中(ヘ)実弟の生計費は認めるがその余の事実は争う。原告の生計費は一カ月平一〇、〇〇〇円である。

(二) 原告の月別収支明細は次表のとおりであつて、所得金額は一四九、九六七円である。

収入

支出

一月

一二、六九〇

四、〇五七

二月

一〇、八四〇

三、二二二

三月

一二、一〇〇

三、八一五

四月

一四、三五〇

七、二四二

五月

二四、一四〇

六、九八四

六月

二三、二八〇

六、九八四

七月

二一、三六〇

七、〇四九

八月

二〇、一八〇

六、〇五四

九月

二二、六五〇

六、七九五

一〇月

二三、五二〇

七、〇五六

一一月

二〇、三五〇

六、一四五

一二月

一九、三〇〇

九、三九〇

合計

二二四、七六〇

七四、七九三

十三、原告青木主張事実に対する被告の答弁

原告主張の事実はすべて争う。原告は確定申告においては収入金額を四〇〇、〇〇〇円必要経費を二八〇、〇〇〇円として再調査請求においては収入を一二六、五五〇円支出を一七、八四二円経費を一〇九、八〇八円と主張しており一貫していないのみならず、右再調査請求書記載の収支計算と本訴において原告が主張する収支計算とを対比すると各月の収入及び支出の金額は全然符合しないのであつて、原告主張の右収支計算は架空のものであると推測される。

十四、原告大石に対する被告の主張事実

(一) 原告大石は、肩書地において三坪の作業所を有しズボン縫工を業として、問屋より洋服地の支給を受けてズボンに加工し、これを問屋に納入してその工賃を得ているものであるが、昭和二十六年中の収入及び支出の状況を明らかにする資料を極めて不完全にしか所持していない。税務官吏の調査に際して、同年四月から十月に至る間の納品書を提示したのであるが、次の理由から右納品書は右期間中の全部でないと考えられた。即ち右納品書によると右期間中の納品数は次のとおり合計二、二七二本である。

四月 二八一(本) 五月 二五五 六月 三一三 七月 二七五 八月 三一〇

九月 三四六    十月 四九二 合計 二、二七二

一カ月の稼働日数を二十八日として計算すると、右期間中ズボン縫工に従事した延人員は四月は原告と使用人一名で五六名、五月から九月までは原告と使用人二名で四二〇名。十月は原告と使用人三名で一一二名合計五八八名である。(この外原告の妻及び長女並びに使用人一名が営業に従事していたが、これは糊付、仕上に従事するものと見做して右計算から除外した。)従つて右期間中一人当りのズボン加工高は三、八本強ということになる。しかしズボン縫工業の通常の業態においては熟練工では八本ないし十二本普通工では五本ないし七本完成し得るから、これに比して著しく少ない一人一日当り三、八本という仕事量は真実のものとは考えられない。又一日三、八本しか加工しないとすれば一本当りの加工賃を一一五円として計算すると一人一日当りの加工賃は四三七円となるが、この加工賃を得るためには経費を要し、その経費を原告主張のとおり収入に対する半額以上とすれば一人一日当りの純益は金二百円程度となり、一般の商況に比して著しく低額であつて是認できない。従つて原告提示の納品書を基礎として収入金額を算定することはできないし又原告の申述による納品先の登家商店(東京都荒川区日暮里町)は調査当時廃業状態であり、同店において納品数を調査することも不可能であつた。更に原告は所得金額計算の基礎は不明で、納税できる程度でこれを定めたと申したてていた。以上のような訳で被告は次の方法によつて原告の所得金額を推定した。

(二)(1) 収入金額の算定

(イ) 昭和二十六年中縫工に従事した人員は次のとおりである。

期間    人員     摘要

自一月至四月  五 原告、妻、長女、使用人二名

自五月至九月  六 原告、妻、長女、使用人三名

自十月至十二月 七 原告、妻、長女、使用人四名

右のうち原告の妻、長女及び使用人一名は常時糊付及び仕上に従事したものとみなせば、ズボン縫工に従事したものは、原告と残りの使用人ということになる。以下この人員を基礎として金額を算出する。(勿論原告自身が糊付又は仕上を行い、原告の妻や長女がズボン縫工に従事することもあるであろうが、糊付及び仕上はズボン縫工に比して僅少の時間及び労力を費すに過ぎないから原告の妻及び長女並びに使用人一名が常に糊付及び仕上に従事するものとみなし、その他の者がズボン縫工に従事するものとして製造高及びそれから得られる収入金額を算定しても原告に有利なことはあつても不利になることはない。)なお右のとおり使用人が逐次増加していることは原告の営業が好成績であつたことを物語つているのである。

(ロ) ズボン一本当り加工賃

原告の提示した納品書によるとズボン一本当り加工賃は一一〇円ないし一二〇円であるからその平均加工賃を一一五円とみた。

(ハ) 原告のズボン加工高及びその工賃

原告は熟練工であつて、最低一日八本のズボンを加工できるから一カ月の稼働日数を二八日(以下使用人の稼働日数もこれに準ずる)とすれば年間加工高は二、六八八本となり、その工賃は三〇九、一二〇円である。

(ニ) 使用人のズボン加工高及びその工賃

使用人は普通工であり、最低一日五本のズボン加工できるからその加工高及び工賃は次のとおりとなる。

期間

就業人員

延人員

加工高(本)

工賃(円)

自一月至四月

一一二

五六〇

六四、四〇〇

自五月至九月

二八〇

一、四〇〇

一六一、〇〇〇

自十月至十二月

二五二

一、二六〇

一四四、九〇〇

六四四

三、二二〇

三七〇、三〇〇

(ホ) 収入金額合計

原告の同年分の収入金額は、原告自身のズボン加工により得た工賃三〇九、一二〇円と使用人のズボン加工により得た工賃金三七〇、三〇〇円の合計六七九、四二〇円であると推定される。

(ヘ) 必要経費

原告は、再調査の請求、審査の請求及び本訴において一貫して必要経費を二二〇、〇〇〇円と主張しているからこれを是認する。

(ト) 収入金額六七九、四二〇円から必要経費二二〇、〇〇〇円を控除した残額金四五九、四二〇円が同年分所得金額となる。従つてその所得金額を三三六、〇〇〇円とした下谷税務署長の決定は違法でないから、これに対する審査の請求を棄却した本件決定も違法でない。

十五、被告主張事実に対する原告大石の答弁及び主張

(一) 被告主張事実中、原告が税務官吏に示した納品書が被告主張の期間中の納品書の全部でなかつたとの事実、同年度の稼働日数が二十八日である事実及び長女がズボン縫工業に従事したことはいずれも否認するがその余の事実はすべて認める。原告の稼働日数は二十三日である。

(二) 原告の月別の収入、経費の額は次表のとおりであつて、所得金額は一七九、八二八円である。

収入

経費

一月

二八、六六五

一四、八九三

二月

二二、二九五

一二、二〇九

三月

三一、八五〇

一四、六三五

四月

二一、一〇五

一一、九五三

五月

二九、二五〇

一八、三九三

六月

三六、七〇〇

一九、三五三

七月

三一、三七〇

一七、九〇一

八月

三五、九一〇

一九、一二一

九月

四三、八六〇

二一、〇一一

十月

四七、八二五

二五、三〇二

十一月

二六、六七五

二〇、四一六

十二月

四四、三二五

二四、八一四

三九九、八三〇

二二〇、〇〇二

十六、原告大石主張事実に対する被告の答弁

原告主張事実中必要経費の合計額が二二〇、〇〇〇円であることは認めるがその余の事実は争う。

又仮りに稼働日数が原告主張のとおり一ケ月二十三日であるとしても前記の推計方法を適用して計算すると収入金額は五五八、〇九五円となりこれから前記必要経費二二〇、〇〇〇円を控除すると所得金額三三八、〇九五円となるから本決定は違法でない。

十七、原告手塚に対する被告の主張事実。

(一) 原告は肩書地において六坪の店舖を有し、茶、茶器及のりの販売並びにパン類の委託販売を行うものであるが、課税資料としては仕入帳、売上帳及び経費帳を備えているけれどもその記帳は断片的で、全然記帳のない日もあり、納品書も一部分しか存在しないから、これのみで収入、支出の状況を明らかにすることができない。又原告は確定申告において収入額を八四四、三九一円、必要経費を六四四、三九一円、所得を二〇〇、〇〇〇円と主張し、再調査の請求においては収入を八四五、一九九円売上原価を六三三、一〇三円、必要経費を一二七、三五九円と主張し、この計算によると所得金額が八四、七三七円となるのにかかわらず、所得金額を二一二、〇八四円と主張し、審査の請求においては再調査の請求と同額を主張し、本訴においては所得額を二一二、一九二円と主張し、その間首尾一貫しないことによつても原告の主張が確たる資料に基くものでないことが明らかであらう。そこで被告は資産負債の増減調査によつて原告の所得金額を推認した。

(二) 同原告の、昭和二十六年中における資産増減の状況は次表のとおり四〇一、二二四円増加しており、これは原告の同年中の所得によつて賄われたものに外ならないから原告の同年分所得は少くとも四〇一、二二四円であつたものと推認される。従つて原告の同年分所得を三八九、八〇〇円とした下谷税務署長の決定は適法であり、右決定に対する審査の請求を理由がないとして棄却した本件決定も違法でない。

(一) 資産の増減

科目

期首

期末

差引増減(△印減)

摘要

現金

一五、五三五

一一、六九六

△ 二、八三九

商品

一九九、五二九

二六七、四〇四

六七、八七五

預金

一九、六一三

二九、〇三八

九、四二五

機械

二五、〇〇〇

二五、〇〇〇

註一

家屋

一二、七二五

一一四、四九五

一〇〇、七七〇

註二

買掛金

二四四、三一〇

四〇〇、〇〇〇

△ 一五五、六九〇

減価償却引当金

△ 四、七四〇

註三

(二) 資産に加算されるべきもの

学費           三六、〇〇〇

医療費         一〇五、一七〇

ガス、水道、電気代     五、一五五 註四

公租公課         三三、五九八 註五

右以外の生計費     一八二、五〇〇 註六

(三) 差引資産額 四〇一、二二四 推定所得金額

注一、昭和二十六年中に購入した再製茶機一台

註二、家屋は店舖部分のみであり、期首の取得価格は一三、七二五円で同年一月に一〇〇、七七〇円に相当する増築をした。

註三、減価償却の計算は次のとおり(定額法による)。

資産の区分

取得価格

残存価額

基礎価格

耐用年数

償却率

償却額

店舖増築部分

一〇〇、七七〇

一〇、〇七七

九〇、六九三

三〇

〇、〇三四

三、〇八三

右以外の店舖

一三、七二五

一、三七二

一二、三五三

三二〇

再製茶機

二五、〇〇〇

二、五〇〇

二二、五〇〇

一八

〇、〇五五

一、二三七

合計

四、七四〇

註四、昭和二十六年中に支払つた水道代金一、〇九七円、ガス代金二、二八七円、電気代金六、九二六円のうちいずれも半額は営業用とみて、残りの家事関連分五、一五五円を資産の増加に加算した。

註五、家屋税六六〇円の四分の三(家屋総坪数二六坪のうち店舖六坪であるから残りの部分に相応する四分の三を必要経費とならないものとして計上する)の四九五円、区民税七、四七〇円及び所得税二五、六三三円の合計額である。

註六、原告の申立によると一日の生計費は五〇〇円であるから、一年の総日数をこれに乗じた。このうちには学費、医療費、ガス、電気、水道代等の臨時支出は含まれていない。

十八、被告主張事実に対する原告手塚の答弁及び主張

(一) 被告主張事実中原告が昭和二十六年一月家屋を増築したとの事実及び生計費が年間一八二、五〇〇円である事実は否認するがその余の事実は認める。

家屋を増築(額については争はない)したのは昭和二十五年十二月のことであり、その代金は衣類家財道具等を売却して得た金を当てた。又一年間の生計費は十二万円ないし十三万円である。

(二) 原告の同年中の茶と海苔及び配給パンとジヤムの各月別収支額は次表のとおり(配給パン一斤(販売価二八円五〇銭)につき八三銭の手数料が利益となる)でその所得額は二六二、一九二円である。

茶と海苔

配給パンとジヤム

収入

経費

利益

収入

手数料

ジヤム利益

一月

八一、九八〇

六五、五八四

一六、三九六

七〇、四二六

二、六六八

二月

四八、二三〇

三八、五八四

九、六四六

一二九、九五六

四、二五四

二、七五〇

三月

五七、九七五

四六、三八〇

一一、五九三

一五〇、〇七七

四、二四〇

二、〇〇〇

四月

五六、一九五

四四、九五六

一一、二三九

一一七、六一六

三、八六八

三、三五〇

五月

六〇、二九〇

四八、二三二

一二、〇五八

一〇五、〇二六

三、三八九

二、三〇〇

六月

五八、四八二

四六、六八六

一一、七九六

八八、三二六

二、七五四

一、一五〇

七月

八五、九一四

六八、七三一

一七、一八三

一〇二、一八六

三、三四三

一、二五〇

八月

六一、七三五

四九、三八八

一二、三四七

三六、二〇四

一、六八〇

一、一五〇

九月

六五、四三〇

五二、三四四

一三、〇八六

五八、〇一六

二、六九三

一、一五〇

十月

六五、八八〇

五二、七四〇

一三、一四〇

五〇、七〇八

二、三五四

一、一五〇

十一月

六八、六四七

五四、九一八

一三、七二九

五一、二六八

二、二四一

一、一五〇

十二月

八〇、六二七

六四、五〇二

一六、一二五

四九、八九六

一、七八二

一、一五〇

合計

七九一、三八五

六三三、〇四五

一五八、三四〇

一、〇〇九、七〇五

三五、二六六

一八、五五〇

十九、原告手塚主張事実に対する被告の答弁

原告主張事実はすべて争う。

二十、証拠関係〈省略〉

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